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肩こりは、いちど良くなったように感じても、
しばらくすると同じ場所に戻ってくる。
この「戻りやすさ」こそが、肩こりの厄介さです。
矢部駅前ひばり鍼灸整骨院の院長の冨田です。
臨床経験は10年以上になりますが
現在は施術に加えて、院内の臨床指導や
技術研修、施術の研究にも関わっています。
その立場から、最初に結論をお伝えします。
肩こりを揉んでも戻る方は、「肩の筋肉」だけを見ていても解決しません。
多くの場合、主因は別にあります。
私が特に重視しているのは、
頭と首の境目、いわゆる「首の付け根」です。
ここには「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」という
小さな深層筋群があり、
慢性の肩こり・頸部痛の背景として
臨床的にも研究的にも注目されています。
なぜ“首の付け根”が重要なのか。
理由はシンプルで、後頭下筋群は
単なる「首を動かす筋肉」ではないからです。
後頭下筋群は、頭部の微細な位置調整、
視線の安定、姿勢制御に関わり、
さらに固有受容器(身体の位置感覚のセンサー)が
豊富に存在するとされています。
つまり、ここが過緊張を起こすと、
筋肉の硬さだけでなく、
姿勢や運動制御そのものに影響が及びやすい。
実際、慢性頸部痛の患者では
後頭下筋群に圧痛点やトリガーポイントが多いこと、
関連痛として僧帽筋上部や肩に症状が出うることが
報告されています。
また、慢性頸部痛では頸部伸筋群の筋厚変化がみられ、
持続的な緊張状態が疑われるという報告もあります。
さらに、頭部前方位(いわゆるスマホ首)では
後頭下筋群が姿勢保持のために過剰に働き、
筋緊張が高まりやすいことが示唆されています。
ここまで来ると、肩こりは
「肩の筋肉が硬いから起きる」では説明がつきません。
整理すると、こういう構造になります。
後頭下筋群が過緊張する
→ 頭位の微調整がうまくいかない
→ 姿勢が崩れやすい(頭が前に出る、首が固まる)
→ 僧帽筋上部や肩甲帯が代償して働く
→ 肩こりが慢性化する
そして慢性化した肩こりでは、
首の位置感覚(固有感覚)の誤差が起きるという報告もあり、
この“感覚のズレ”がさらに筋緊張を固定化する可能性がある。
つまり、単なる「こり」ではなく、
痛み・姿勢・感覚のエラーが絡み合った状態として
肩こりが維持されてしまうわけです。
今日の導入で、先に結論を明確にします。
肩こりを揉んでも戻る人ほど、
“肩”ではなく“首の付け根”に主因がある可能性が高い。
そして、後頭下筋群の過緊張は
痛みだけでなく姿勢や固有感覚まで巻き込み、
肩こりを固定化しやすい。
だから矢部院では、
肩を緩める前に、まず首の付け根を評価します。
どこが原因として働いているのか。
どの機能が破綻しているのか。
そこを外さないことが、改善の近道になります。
肩こりの話をするとき、
多くの方がイメージするのは
僧帽筋や肩甲挙筋など
いわゆる「肩の筋肉」だと思います。
ただ、慢性化している肩こりや頸部痛では、
もっと深いところ、もっと上のところが
本丸になっていることがあります。
その代表が「後頭下筋群(こうとうかきんぐん)」です。
どこにある?何をしている?
後頭下筋群は、
頭蓋骨の後ろ側(後頭骨)と、
首のいちばん上の骨(上位頸椎:C1〜C2周辺)に
付着している小さな筋肉の集まりです。
場所としては、首の最深部。
表面の筋肉のさらに奥にあり、
普段は意識して触れない“深層筋”です。
代表的には、
大後頭直筋、小後頭直筋、
上頭斜筋、下頭斜筋といった筋が含まれます。
この筋群の仕事は、
「首を大きく動かす」ことではありません。
むしろ逆で、仕事の中心は
頭の位置をミリ単位で調整することです。
具体的には、
・頭部の微調整(姿勢の最終調整)
・視線の安定(目で物を追うときの頭位コントロール)
・上位頸椎の安定化(頭と首の境目を守る)
このあたりが重要な役割になります。
つまり後頭下筋群は、
“動かす筋肉”というより“制御する筋肉”です。
小さいのに影響が大きい理由
後頭下筋群が小さいのに厄介なのは、
ここが単なる筋肉ではなく、
感覚と制御に深く関わる領域だからです。
まず1つ目の理由が、
固有受容器(身体の位置感覚のセンサー)が
非常に多いことです。
固有受容器は、
「今、頭がどの位置にあるか」
「首はどれくらい傾いているか」
「視線に対して頭がズレていないか」
こういった情報を脳へ送るセンサーです。
後頭下筋群は、
このセンサーが豊富な領域として知られており、
ここが硬くなって過緊張すると、
筋肉が痛いだけでなく、
“感覚の精度”が落ちる可能性が出てきます。
2つ目の理由は、
位置が「首の司令塔」に近いことです。
頭と首の境目は、
姿勢制御の最上流です。
ここで頭位がわずかに崩れるだけで、
下流の筋肉が一斉に代償します。
頭が少し前に出れば、
首の後ろは常に引っ張られる。
首が固まれば、肩甲帯が代わりに頑張る。
視線が安定しなければ、
目の疲労や頭痛の要素も絡んでくる。
つまり、後頭下筋群の異常は
局所の問題で終わりにくい。
ここが狂うと、
「首」だけではなく、「肩」や「頭痛」、
さらに「眼精疲労」まで
連鎖的に症状が広がりやすくなります。
肩こりが“肩だけ”の問題に見えてしまうのは、
症状が肩に出ているだけで、
原因の起点が別にあることがあるからです。
後頭下筋群は、その起点になりやすい。
だからこそ、肩こりを本気で改善させたいなら、
この領域を知らずに進めるのは危険です。
肩こりや頸部痛が慢性化する方には、
かなり共通した流れがあります。
ポイントは、
「最初は軽い違和感」だったものが、
ある日から“戻るのが当たり前”になり、
最終的に「何をしてもスッキリしない状態」に
固定されていくことです。
この慢性化のプロセスを理解すると、
なぜ“肩を揉むだけ”では改善しないのかが
論理的に見えてきます。
スマホ首(FHP)→後頭下筋が働きすぎる
まず入口は、
頭部前方位(Forward Head Posture:FHP)
いわゆるスマホ首です。
頭が前に出るほど、
首の付け根(後頭下筋群)は
姿勢を保つために働き続けます。
ここで重要なのは、
「仕事量が増える」ではなく、
“休めない状態になる”ということです。
頭の重さは成人で約4〜6kgと言われますが、
それが前にズレると、
首の後ろ側にかかる負担は跳ね上がります。
しかも後頭下筋群は
大きく動かす筋肉ではなく、
頭位を細かく制御する筋肉です。
だから、スマホやPC作業のように
「視線を固定して、頭を微調整し続ける」
という状況が続くと、
首の付け根は常時残業になります。
本人は肩がつらいと感じていても、
実は“首の最上部で過労が始まっている”。
これが典型的な出発点です。
硬くなる→痛くなる→さらに硬くなる(悪循環)
次に起きるのが、
硬くなる → 痛くなる → さらに硬くなる
という悪循環です。
筋肉は痛みを感じると、
身体を守るために緊張を高めます。
これが防御性収縮です。
つまり、痛みが出るほど
筋肉は「ゆるめる」ではなく
「固める」方向に働きます。
この段階になると、
単に局所の筋肉が硬いだけではなく、
自律神経の影響も絡み始めます。
具体的には、
こうした要素が重なっていきます。
結果として、
後頭下筋群を中心とした頸部の緊張が
「一時的なこり」ではなく
“慢性の固定パターン”になってしまう。
ここまで来ると、
本人の感覚としては
「首や肩がずっとONのまま」
「リラックスする感覚が分からない」
という状態になりやすいです。
「肩を揉む」だけだとズレる理由
この慢性化パターンで
よく起きる誤解があります。
それが、
「痛い場所=原因」
と思ってしまうことです。
肩がつらい。
だから肩を揉む。
一時的にラクになる。
でも戻る。
これは、肩の筋肉が悪いというより、
肩が“代償して頑張っている場所”になっているからです。
頭が前に出て、
首の付け根が固まる。
首の動きが悪くなる。
上位頸椎の制御が不安定になる。
この状態で身体は、
別の部位を使って帳尻を合わせます。
その代表が僧帽筋上部や肩甲帯です。
つまり肩は、
原因というより“被害者”になりやすい。
さらに問題なのは、
こりの本丸が深層筋(後頭下筋群など)にある場合、
表面を緩めても深層の緊張が残ることです。
表面の筋肉を緩めると、
一時的に血流が良くなり、
痛みの感覚が下がってラクになります。
しかし深層で、
頭位を制御する筋肉が緊張したままだと、
姿勢と制御のエラーは残る。
すると身体はまた同じように
肩を使って代償します。
だから「揉んでも戻る」。
矢部院では、
このループを断ち切るために
“肩を揉む前に”
首の付け根と頭位制御の問題を評価します。
痛い場所に対処するのではなく、
痛みを作っている仕組みに介入する。
慢性肩こり・頸部痛ほど、
ここを外さないことが重要になります。
ここからは“感覚”や“経験談”ではなく、
研究で何が示されているのかを土台に整理します。
読みやすさのために、各論文を
「結論 → 臨床で何が言えるか → 注意点」
の順で揃えます。
エビデンス① トリガーポイントと関連痛(後頭下筋群)
結論(研究が示したこと)
機械的頸部痛(mechanical neck pain)の患者群では、
健常者と比べて「活動性トリガーポイント(active TrP)」が
有意に多く見つかりました。
対象筋には後頭下筋群も含まれており、
頸部痛群では“症状に関与するトリガーポイント”が
複数筋に分布していることが示されています。
:contentReference[oaicite:0]{index=0}
さらに重要なのは、
各筋のトリガーポイントを押したときに生じる
「関連痛(referred pain)」のパターンが、
患者さんの訴える症状に寄与していた
と述べられている点です。 :contentReference[oaicite:1]{index=1}
臨床で何が言えるか(冨田解釈)
肩こりや頸部痛で典型的に起きる誤解は、
「痛い場所=原因」と考えてしまうことです。
この研究が示唆しているのは、
痛みは“1か所の筋肉”から出ているとは限らず、
後頭下筋群を含む複数筋のトリガーポイントが
関連痛という形で症状を作りうる、という視点です。
:contentReference[oaicite:2]{index=2}
つまり、肩のつらさが前面に出ている方でも、
肩だけを主戦場にしない。
首の付け根(後頭下筋群)を含めて
「どこが症状を再現し、どこが連鎖の起点か」を評価する。
この発想が、慢性化して戻りやすい肩こりには不可欠です。
注意点(過剰な断定を避ける)
この種の研究は、
「後頭下筋群のトリガーポイントが肩こりの唯一の原因」
と断定するものではありません。
ただし、
頸部痛患者では活動性トリガーポイントが増え、
関連痛が症状に関与しうる、という“土台”は示されています。
:contentReference[oaicite:3]{index=3}
だから矢部院では、
肩を揉む前に、首の付け根まで含めて評価します。
原因の取り違えを減らすためです。
エビデンス② 筋厚の変化(頸部伸筋群の形態変化)
結論(研究が示していること)
慢性の頸部痛では、頸部の筋(とくに深層〜伸筋群)に
形態学的な変化が起きうることが、
画像所見ベースの研究やレビューで繰り返し指摘されています。
代表的には、筋のサイズ(断面積・厚み)変化や、
ケースによっては脂肪浸潤などの“質”の変化が報告されています。
(日本理学療法士協会)
臨床で何が言えるか(私、冨田の解釈)
ここが重要です。
筋厚(サイズ)が変わる=単純に
「筋トレで太くなった」ではありません。
慢性痛の文脈では、筋の形態変化はしばしば
肩こり・頸部痛が「揉んでも戻る」人は、
まさにこのタイプに入りやすい。
つまり、局所をほぐして一時的に血流が良くなっても、
“使いすぎの固定パターン”が残っていれば、
また同じ筋(首の付け根〜伸筋群)が働き続け、症状が戻る。
この視点が、慢性化の説明として非常に強いんです。
注意点(過剰な断定を避ける)
ただし、筋厚の変化を「=過緊張の証明」と断定はできません。
筋のサイズが大きく見える背景には、筋活動の増加だけでなく、
脂肪浸潤など“質の変化”が
見かけ上のサイズに影響する可能性もあるため、
読み方に注意が必要です。 (サイエンスダイレクト)
だから矢部院では、
「硬い感じがする」だけで結論を出さず、
痛みの再現性、姿勢(FHP)、可動域、筋の反応、
そして全身の代償まで含めて、
“使いすぎによる固定化”が起きているかを評価します。
この評価を外すと、治療が「その場しのぎ」に落ちます。
エビデンス③ FHP(頭部前方位)との関連
結論(研究が示していること)
頭部前方位(Forward Head Posture:FHP)は、
成人の頸部痛と関連する、という報告がまとまっています。
系統的レビューとメタ解析では、
成人〜高齢者では「頸部痛がある人ほどFHPが強い」こと、
さらにFHPの程度が痛みや機能障害と相関することが
示されています。
一方で、これらは主に横断研究であり、
因果(姿勢が原因か、痛みの結果か)は断定できない点も明確です。
:contentReference[oaicite:0]{index=0}
また、慢性緊張型頭痛の患者を対象にした研究では、
頭部前方位の指標(頭部前方位が強いほど小さくなる角度)が
健常者より有意に小さく、FHPが強いことが示されています。
さらに、
その角度と頸部可動域の間に関連が見られたとも報告されています。
:contentReference[oaicite:1]{index=1}
加えて、後頭下筋群そのものに焦点を当てた研究では、
慢性緊張型頭痛の患者で
「後頭下筋群の活動性トリガーポイント」が多く、
FHPも健常者より強いことが報告されています。
:contentReference[oaicite:2]{index=2}
臨床で何が言えるか(冨田の解釈)
このデータが臨床で強いのは、
「スマホ首っぽい姿勢=ただの見た目の問題」ではなく、
痛みの背景に“負荷の偏り”として関与しうる点です。
FHPが強いほど、首の付け根(後頭下筋群)は
頭位を保つために働き続けやすい。
その結果として、
後頭下筋群の緊張やトリガーポイントが絡み、
首・肩・頭痛などの症状が説明しやすくなります。
:contentReference[oaicite:3]{index=3}
肩こりで多いのは、
肩(僧帽筋上部)が悪いというより、
上流(頭位・上位頸椎)が不安定になり、
肩甲帯が代償して“過剰に働かされている”パターンです。
このとき、僧帽筋上部の痛みは結果として出ていることが多い。
だから矢部院では、
肩だけで完結させず、
「頭位」「上位頸椎」「後頭下筋群の反応」まで含めて評価します。
注意点(ここを誤解すると治療がズレる)
姿勢は、単純に「悪いから直す」対象ではありません。
研究としても、FHPは頸部痛と関連しますが、
因果は断定できません(姿勢が原因の可能性もあれば、
痛みをかばった結果としてFHPが強くなる可能性もある)。
:contentReference[oaicite:4]{index=4}
つまり臨床的には、
姿勢は「結果」であり「増悪因子」でもある、
という扱いが最も合理的です。
姿勢を叱って矯正するのではなく、
なぜその姿勢になっているのか
(疲労、呼吸、視線作業、可動域、制御)
どこが過剰に働かされているのか
(後頭下筋群〜肩甲帯)
ここを評価して、負荷の偏りを減らす。
この順番を外すと、結局“戻る肩こり”になります。
エビデンス④ 固有感覚(頭位の誤差)と頸部痛(Spine, 2003)
まず「固有感覚」とは、
自分の頭が“今どこにあるか”を、
目を閉じていても把握できる感覚です。
首はこの感覚を担う重要な部位で、頭部の位置情報を脳へ送り、
姿勢や眼球運動の制御にも関わります。
:contentReference[oaicite:0]{index=0}
結論として
頸部痛がある人では、
この“頭の位置感覚”が乱れることが複数の研究で示されています。
代表的な評価が「頭位再定位(Head repositioning)」で、
いったん首を動かした後、
元の正中位に戻す精度(誤差)を測ります。
慢性の頸部痛群は健常群より誤差が大きい、
つまり「戻したつもり」と「実際」がズレやすい傾向が報告されています。
:contentReference[oaicite:1]{index=1}
ここが臨床的に重要なのは、
痛みが“筋肉の硬さ”だけで固定化しているとは限らない点です。
感覚のズレがあると、
身体は安全策として筋緊張を上げやすくなります(いわば防御モード)。
その結果、後頭下筋群を含む上位頸椎周囲が常に働き続け、
痛み→緊張→さらに感覚が鈍る、というループが成立します。
このループは「肩を揉むと一瞬ラクだが、すぐ戻る」
タイプの説明として非常に整合的です。
:contentReference[oaicite:2]{index=2}
さらに後頭下筋群は
、筋紡錘(固有受容器)が多いことが知られています。
つまり、
ここが過緊張になると“位置センサーの情報”そのものがノイズ化しやすい。
もちろん
「後頭下筋の過緊張=固有感覚障害の原因」と断定はできませんが、
センサー密度の高さと、
頸部痛で位置覚が乱れるという事実を合わせると、
臨床推論としては十分に合理的です。
:contentReference[oaicite:3]{index=3}
臨床的示唆:
痛み=筋肉だけ、で終わらない(制御の問題)
私(ひばり鍼灸整骨院)の臨床では、
後頭下筋群を“緩める対象”としてだけでなく、
「感覚と運動制御の入口」として扱います。
具体的には、
局所のリリースや上位頸椎周囲の緊張調整に加え、
頭位再定位のような“ズレ”が疑われる場合は、
視線の安定・深層頸部筋の協調・軽い再学習(コントロール練習)
まで含めて設計します。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
注意点(誤解を避けるために)
・頭位再定位テストは手法が多様で、研究間の条件差もあります。
「誰でも必ず異常が出る」検査ではありません。
:contentReference[oaicite:5]{index=5}
・固有感覚は首だけでなく、視覚・前庭(平衡)とも統合されます。
めまい、強いふらつき、しびれ、脱力などが
強い場合は別評価が優先です。
・だからこそ、肩こり・頸部痛の慢性化は“単一原因”ではなく、
筋・姿勢・感覚(制御)を同じ地図上で整理する方が、
遠回りに見えて最短になります。
:contentReference[oaicite:6]{index=6}
エビデンス⑤ 介入で改善(手技の価値を“研究”で確認する)
結論から言うと、
後頭下筋群(サブオクシピタル)を狙った介入は、
「痛み」「可動域(ROM)」「筋の過敏性(緊張・圧痛)」
といった指標に、改善を起こし得ます。
つまり――“そこを触る意味”は、
経験則だけでなく研究でも裏づけが出ています。
結論(研究が示したこと)
慢性の頸部痛を対象に、
後頭下筋群へのリリース(抑制)を含む介入を行うと、
頸部ROM、痛み(VAS)、
圧痛閾値(PPT:押して痛くなる閾値)が全体として改善し、
評価尺度(NDI)も改善しました。
この研究ではPPTを「後頭下筋」だけでなく
「僧帽筋上部」でも測っており、
上部僧帽筋側にも改善が見られています。 (MDPI)
臨床で何が言えるか(あくまで私の視点)
ここが重要です。
肩こり・頸部痛が慢性化している人は、
痛みが“肩に出ている”だけで、制御や負荷の中心が
“後頭下筋群〜上位頸椎”にあるケースが混ざります。
そのタイプに対して後頭下筋群を評価して、
必要な介入を入れる価値は高い。
なぜなら、研究上も「後頭下筋群をターゲットにした手技」で、
首の動き(ROM)と痛み、
そして筋の過敏性(PPT)が変わることが示されているからです。 (MDPI)
つまり、
肩を揉むだけの“表面処理”で終わらせない理屈が立ちます。
さらに別のランダム化試験では、
後頭下筋群へのソフトティッシュ介入(抑制手技)や上位頸椎への介入で、
治療の“直後(2分後)”に圧痛閾値(PPT)が上がる=痛みに対する反応が
一時的に鈍る、という即時変化が示されています。 (PubMed)
これは
「後頭下筋を落ち着かせると、痛みの出方そのものが変わる」
可能性を支持します。
注意点(過大評価しない)
ただし、
研究は“魔法”を証明しているわけではありません。
2010年の試験では効果量は小さく、
臨床的な意味づけには慎重さが必要、
と明記されています。 (PubMed)
また、慢性頸部痛を対象にした研究でも、
群間差が大きく出ない項目があり、
プラセボ群がないなどの限界もあります。 (MDPI)
だから結論はこうなります。
後頭下筋群の介入は「単独で全部を解決する」ではなく、
“本丸に触れるためのキーの一つ”として、
評価(姿勢・可動域・痛みのパターン・固有感覚)と
セットで使うべき手段です。
ここを外さない限り、
後頭下筋群を狙うことは十分に理にかなっています。
ここまで、後頭下筋群と肩こり・頸部痛に関する
主要な視点を、5本の研究を軸に整理しました。
結論は、極端に言えばこの3点です。
1)関連は示されている
慢性頸部痛の患者では、
後頭下筋群に圧痛やトリガーポイントが多いこと。
頭部前方位(FHP)のような姿勢特性と
頸部症状が関連しうること。
さらに、頸部痛では頭位再定位の誤差など
“感覚(固有感覚)”の問題が起きること。
そして後頭下筋群への介入で
痛みや可動域、筋の過敏性が改善しうること。
これらは「後頭下筋群が肩こり・頸部痛の慢性化に関与し得る」
という全体像を、研究として支持しています。
2)ただし万能論にはしない(個人差・他要因も大きい)
ここで誤解してほしくないのは、
「肩こり=後頭下筋群が原因」と単純化しないことです。
肩こり・頸部痛は、
睡眠、ストレス、呼吸、眼精疲労、
胸郭や肩甲帯の可動性、運動不足、
過去のケガ、仕事環境など、
複数の要因が重なって成立します。
研究もまた、
“関連”や“傾向”を示しているのであって、
全員に同じ原因があると証明しているわけではありません。
だからこそ、治療はテンプレではなく、
一人ひとりの状態に合わせた設計が必要になります。
3)だからこそ「評価」が要る
結局、ここに尽きます。
後頭下筋群は、
小さいのに影響が大きい。
痛み・姿勢・感覚の制御まで巻き込んで
慢性化を固定しやすい“起点”になりうる。
しかし、起点になっているかどうかは、
触った感覚や見た目だけでは決められません。
痛みがどこで再現されるのか。
姿勢(FHP)がどの程度関与しているのか。
可動域はどうか。
肩甲帯は代償していないか。
固有感覚のズレを疑う要素はあるか。
こうした評価を通して、
「その人の肩こりが、どの仕組みで維持されているか」
を見立てる必要があります。
そしてこの“見立て”こそが、
矢部駅前ひばり鍼灸整骨院の強みです。
次回は、ここまでのエビデンスを土台に、
当院では実際にどのように評価し、
どのような順番で介入を組み立てるのか。
ひばり鍼灸整骨院の技術指導者として
私、冨田の臨床ロジックを具体的にお伝えします。