■関節位異常と神経アプローチの臨床推論|冨田院長の10年実践で磨いた「触れて考え、動きで確かめる」矢部院メソッド

痛みやしびれの背景には、関節のわずかな位置のずれ(関節位異常/サブラクセーション)や、神経の滑走性・内外圧の乱れが絡み合っていることがあります。矢部院では、その“小さなズレと滞り”をモーション・パルペーション(動的触診)で丁寧に拾い上げ、ディバシファイド・リスティングで構造化してから施術方針を組み立てます。私たちの基本姿勢は「触れて考え、動きで確かめる」――所見をその場の手技に直結させず、臨床推論で原因仮説を立て、介入前後の再評価で変化を確認します。

この方法論の土台には、矢部院の冨田院長が積み重ねてきた10年の臨床実績があります。数えきれないセミナー参加と専門書の学習(『末梢神経マニピュレーション』『バトラー・神経系モビライゼーション』『脊柱モーション・パルペーション』『ネッター解剖学アトラス』『筋骨格系のキネシオロジー』『脊椎マニピュレーション』『ボディナビゲーション』ほか)をベースに、院内外の仲間たちとの勉強会と症例検討を継続。得られた知識と技術を矢部院の標準手順へと再現可能な形に落とし込み、スタッフ全員で共有しています。

医療は現代医療と補完医療という二つの視点で捉えられます。私たちは現代医療を尊重し、安全性と根拠を第一に据えたうえで徒手療法を補完的に活用します。日本では徒手療法の臨床試験が十分でない領域もありますが、欧米で蓄積された多様な研究や標準的な解剖・運動学の知見を参照し、過度な断定を避けつつ個々の状態に合わせた判断を行います。

本記事では、矢部院メソッドの中心である関節位異常の見立て、モーション・パルペーションとディバシファイド・リスティングの実践、そして末梢神経マニピュレーション/神経系モビライゼーションを含む神経アプローチの狙いと安全基準をわかりやすく解説します。身体の“動きの地図”を一緒に読み解き、日常のパフォーマンスを穏やかに底上げするための指針としてご活用ください。

関節位異常とは:矢部院の基本概念

定義:関節(特に脊椎)の骨配列が最適位置から外れ、機能的な不具合(可動性・情報伝達など)を招く状態。微小なずれでも、関節包や靭帯の張力バランス、神経の滑走性に影響し、痛みや違和感として表れることがあります。

臨床的意義:痛み・しびれ・可動域制限などの背景にある「動きの質」の問題として評価します。静止画のような姿勢の乱れだけでなく、実際の動作中に起きる関節の遊びの不足や、終末感の異常を重視します。矢部院では、冨田院長の10年の臨床経験と院内勉強会で共有している評価基準をもとに、再現性のある手順で判定します。

主キーワード配置:関節位異常/臨床推論/触診/リスティング

関節位異常=「構造」と「機能」を同時に見る

関節位異常は、骨の位置関係という構造の問題だけでは完結しません。関節包・靭帯・筋膜・筋の協調、さらには神経の滑走性や内外圧といった機能の要素が結びついて症状を形成します。
構造面では、椎体の回旋・側屈・前後滑りなどを推定し、どの方向でロス(動きの欠落)が強いかを確認します。機能面では、関節の遊びの減少、抵抗の立ち上がりが早い硬い終末感、左右差の増大などを観察します。これらを統合し、ディバシファイド・リスティングで分類・記録することで、介入の優先順位と安全域を明確にします。

触診で何を見ているか(温度感・硬さ・動きの終末感)

触診では、まず皮膚温や発汗、浮腫感などの自律神経的サインを確認し、次に筋・腱・靭帯の張力や圧痛、筋膜の滑走性を評価します。
モーション・パルペーションでは小さな誘導運動を与え、関節の遊び、抵抗の立ち上がり、終末感(スプリング感・硬さ・抜け感など)を丁寧に比べます。痛みが出る方向・出ない方向、再現性のある誘発動作を特定し、記録様式に沿って数値や語彙を統一して残します。力加減と誘導角度を一定に保つこと、同一条件で左右比較することが再現性を高める鍵です。

画像所見との関係:補完的に考える

画像検査は骨形状や明らかな構造変化を捉えるのに有用ですが、関節の遊びや終末感、神経の滑走性といった機能面は写りにくい領域です。矢部院では、赤旗症状(外傷、発熱、進行性の神経脱落、膀胱直腸障害など)がある場合は医療機関での精査を最優先とし、その結果を踏まえて触診所見と突き合わせます。画像は否定・肯定の決め手ではなく、触診・機能評価を補強する情報として活用し、臨床推論の精度を高めます。

医療の位置づけ:現代医療と補完医療

関節位異常の評価と同様に、施術の立ち位置も整理しておくと理解が深まります。医療は大きく現代医療と補完医療に分けられ、矢部院の施術は補完医療に位置づきます。私たちは現代医療を尊重し、安全性と倫理に則って、必要な際には医療機関の判断を優先します。

資格と守備範囲

国家資格に基づく評価・施術を行い、適応と不適応を明確にします。外傷や感染、進行性の神経症状などの赤旗所見が疑われる場合は速やかに医療機関を紹介し、検査結果や投薬、画像診断の情報を参考にしながら進めます。施術は、痛みを直接「治す」ことを断定せず、機能の回復を支える補完的アプローチとして位置づけます。

施術の根拠と視点

国内の徒手療法は臨床試験が十分でない領域が残っています。そのため、欧米で蓄積された研究や標準的な解剖・運動学の資料を学び、過度な断定を避けながら、個々の反応を再評価で確かめる実践的な視点を取ります。冨田院長は多数のセミナー参加と専門書の学習、院内外の勉強会を通じて得た知見をプロトコルに反映し、評価手順と記録の統一、刺激量の基準、再評価の指標を定期的に更新しています。こうした運用により、根拠の範囲を踏まえつつも、日々の臨床で再現性の高い判断と安全な介入を目指します。

エビデンスの現状:日本と欧米の違い

日本では筋骨格系の痛みや可動域に関する報告が中心で、研究件数やテーマの幅が限られがちです。対して欧米では、痛み科学(痛みの知覚や感作のメカニズム)、神経モビライゼーション、徒手マニピュレーション、運動療法、認知行動アプローチの組み合わせなど、学際的で多角的な研究が進んでいます。臨床試験も事前登録、盲検化、追跡期間、アウトカム指標の妥当性といった要件が厳密に設計される傾向があり、再現性の評価が重視されています。

規制と環境の違い

日本では手続きや倫理審査、保険制度の枠組みが複雑で、臨床現場に新しい手法を試験的に導入するハードルが高くなります。医療機関は保険診療が中心で、評価や再評価に十分な時間を割きにくい現実もあります。欧米ではカイロプラクティックドクター(DC)やオステオパシードクター(DO)など職種が細分化され、大学や研究機関と臨床が連携する土壌が比較的整っており、プロトコル化と検証を行う場が確保されやすい背景があります。

バランスある捉え方

どちらが優れているかではなく、制度と文化の違いがエビデンスの偏りを生みやすいと理解することが重要です。矢部院では、国内外の知見を参照しつつ、患者の安全と利益を最優先に判断します。強い推奨が難しい領域では、過度な断定を避け、説明と同意を丁寧に行い、再評価で効果を確認する実践を徹底します。具体的には、痛みの数値評価、可動域、機能テスト、患者報告式アウトカム(生活動作の達成度など)を継続的に記録し、反応に応じて介入を調整します。制度の違いを踏まえながらも、透明性と再現性を軸に、現場でできる最適解を積み上げていきます。

サブラクセーションの考え方と脊柱への影響

サブラクセーションは、一般医学では部分脱臼を指し、カイロプラクティック領域では椎骨の位置異常を示す用語として使われます。ここで言う位置異常は、大きく外れた変位だけでなく、微小な配列の乱れや関節包・靭帯の張力不均衡を含む機能的なずれを指すことが多く、画像に明確に写らない場合もあります。

脊柱にサブラクセーションが生じると、椎間関節の可動性が偏り、椎間板の含水と栄養循環(吸収能)が損なわれやすくなります。これにより、局所の防御性緊張や運動パターンの代償が起き、結果として神経の情報伝達にも影響が及ぶ可能性があります。影響は運動神経、自律神経、感覚神経、皮神経といった経路に広がり、しびれや違和感、可動域のつっぱり感などとして表面化します。矢部院では、こうした所見をモーション・パルペーションで拾い、ディバシファイド・リスティングで整理し、介入の優先順位を決めます。なお、すべての痛みをサブラクセーションだけで説明するのではなく、筋・筋膜、循環、心理社会的要因なども併せて評価します。

赤旗症状(レッドフラッグ)の除外

強い外傷歴、発熱と全身倦怠、進行性の筋力低下や麻痺、膀胱直腸障害などは速やかな受診が必要です。矢部院では問診とスクリーニングで適応外を見極め、赤旗症状(レッドフラッグ)が疑われる場合は施術を行わず、医療機関での精査を優先します。

ディバシファイド・リスティング:わかりやすい関節位分類

ディバシファイドテクニックは、多様なカイロプラクティック技術群の中でも評価がシンプルで、日常臨床に乗せやすい方法です。リスティングは、関節位置異常を方向や性質ごとに整理し、記録して、施術者同士の意思疎通を明確にするための共通言語として機能します。矢部院では、触診とモーション・パルペーションで得た所見をこの言語に落とし込み、介入の優先順位と安全域を決めます。

代表的テクニックの位置づけ

パーマー法はX線分析を重視し、ガンステッドはX線・触診・神経学的検査を統合して評価します。トムソンはドロップテーブルを用いた実用性に長け、CBPは姿勢分析とX線を組み合わせた再現性の高い指標化を志向します。上位頚椎テクニックはC1・C2に特化し、スタティック・パルペーションの精度を追求します。矢部院では各アプローチの強みを評価設計の参考にしつつ、最終的な記録はディバシファイドのリスティングで統一します。

リスティングの記載例

リスティングは、関節運動のどの成分でロス(動きの欠落や異常な終末感)が強いかを短く表現します。基本は、対象部位+主たる運動方向+補助的所見の順で記載します。


・C4 右回旋ロス>左側屈ロス、前方滑り傾向、終末感硬
・T5 左回旋‐伸展の複合ロス、スプリング感低下
・L3 右側屈ロス、屈曲終末で痛み再現、左凸の姿勢偏位を伴う
・C2‐C3 セグメント間せん断の疑い、右回旋誘導で抵抗立ち上がり早い

短縮表記の例
・C4: Rot R↓ > LatFl L↓ / Ant glide / Hard end-feel
・T5: Rot L + Ext↓ / Spring↓

再評価に使うため、同じ課題動作や同じ触診軌道で所見を取り、日付・体位・誘導方向・痛みスケール・終末感の語彙を統一して残します。矢部院では、チェックリスト化したテンプレートを用いてスタッフ間の記録精度を揃えています。

ミニプロトコルの例

  1. 体位を記録(座位、腹臥位、側臥位など)
  2. 誘導方向を一つずつ固定(回旋→側屈→屈伸→滑り)
  3. 痛みの再現性、抵抗の立ち上がり、終末感の質を三段階で評価
  4. 主所見と補助所見を分けて記載
  5. 介入前後で同条件にて再測定

よくある誤解

リスティングは治療そのものではありません。診断名でも固定的な「ズレの断定」でもなく、評価を共有し、介入の選択と順序を最適化するための地図です。数値や略号が独り歩きすると、患者の状態像が単純化されすぎます。矢部院では、リスティングをあくまで臨床推論の土台とし、症状の変化、機能テスト、生活動作の達成度と併せて立体的に解釈します。

モーション・パルペーション(動的触診)の要点

モーションは運動、パルペーションは触診。小さな誘導運動を与えて関節の遊び、抵抗、終末感、痛みの出方を確認します。矢部院では、この評価をディバシファイド・リスティングと照合し、どの関節に、どの方向へ、どれだけの刺激を入れるかという手技設計の指針に落とし込みます。評価は目的ではなく、手技の精度と安全性を高めるための設計図です。

ランドマークの例

頚椎C2の棘突起(SP)と横突起(TP)を基準に、C2〜C7の動きを評価します。C2 SPから1横指外側でTPを触れ、左右差や滑り、抵抗の立ち上がりを観察します。スタティック(静的触診)で基準位置を定め、モーション(動的触診)で生理的可動性と終末感を確認します。矢部院では、体位(座位・腹臥位・側臥位)と誘導方向を固定して評価条件をそろえ、再現性を確保します。

再現性を高めるコツ

・力加減を一定に保つため、拇指と母指球での圧接触を一定速度で
・同じ軌道で誘導し、回旋→側屈→屈伸→滑りの順に一項目ずつ実施
・呼吸位相をそろえ、同じ吸気または呼気で終末感を確認
・記録は統一様式で、体位・誘導方向・痛みスケール・終末感(硬い/抜ける/スプリング低下など)を併記
冨田院長が院内勉強会で示すデモ動画とチェックリストを用い、スタッフ全員が同じ評価基準で所見を残します。

評価から手技への落とし込み

矢部院は、モーション・パルペーションの所見を次の手順で具体的な手技に変換します。

  1. 主所見の特定
     例:C4の右回旋ロスが主で、前方滑り傾向、終末感は硬。
  2. ベクトル設計
     接触点、牽引の方向、関節面に沿ったベクトルを設定。
  3. 刺激量の決定
     低振幅・低速度のモビリゼーションから開始し、反応を見て段階調整。必要に応じて神経スライダー/テンショナー、筋膜リリース、関節包ストレッチを組み合わせます。
  4. 前処置・後処置の選択
     滑走性を上げる前処置(軟部組織アプローチ)→関節介入→神経アプローチ→再評価、の順で一貫性を保ちます。
  5. 再評価と記録
     同条件で所見を取り直し、次回計画に反映します。

この流れにより、評価結果がそのまま手技の接触点・方向・振幅・順序に翻訳され、個々の症状に合わせた微調整が可能になります。

セルフチェックのヒント

安全域での首の回旋や側屈をゆっくり行い、つっぱり感の方向と強さ、左右差を短い言葉でメモします。朝と夕で変化を比べると、臨床所見と合わせて改善の指標になります。痛みが強い、しびれが増える、めまいが出るなどの変化があれば中止し、施術時に共有してください。

神経アプローチ:末梢神経マニピュレーション/神経系モビライゼーション

神経は単なる電線ではなく、血流、内圧、外圧、滑走、機械受容などをもつ生体組織です。滑走が妨げられると、牽引負荷の集中や感作が起きやすくなります。矢部院では症状と評価に基づき、スライダーやテンショナーといった手法を用い、最小刺激で反応を確認します。あわせて、ひばり鍼灸整骨院ではこの技術について月に一度スタッフが集まり、ケースレビューや手順の標準化、記録様式のすり合わせなどの技術共有の機会を設けています。矢部院のスタッフも参加し、最新の知見と院内データを持ち寄ってアップデートを行います。

組織に対する効果の狙い

  • 粘膜や滑走面の潤滑性の改善
  • 内圧の調整
  • 外圧の低減(周辺組織の拘縮や圧迫の緩和)
  • 神経緊張の適正化
  • 伝達特性の最適化
  • タンパク質構造の変性防止を意識した負荷設計

周辺に対する効果の波及

  • 神経根の圧迫・炎症反応への配慮
  • 関節の可動性と位置調整の補助
  • 軟骨への栄養供給を促す運動負荷の設計
  • 筋肉・腱の張力バランス調整
  • 腱膜や筋膜の滑走性向上
  • 皮膚の知覚入力の正常化
  • 血管の拍動と循環のサポート
  • 自律神経の過緊張を避ける段階的刺激
  • 内臓機能の反射的影響へ配慮
  • 感覚過敏の緩和
  • 内分泌への二次的影響を想定した安全域の設定

実施上の注意

  • 症状の増悪や遠位への放散が強まる場合は中止し、別の経路を検討します。
  • 糖尿病や血管疾患、皮膚の脆弱性がある場合は刺激量を引き下げ、観察間隔を短くします。
  • 抗凝固療法や重度の感覚障害がある場合は禁忌・注意事項を優先し、必要に応じて医療機関と連携します。

触診→リスティング→臨床推論→介入→再評価の流れ

評価から施術、そして確認までを一つの循環として運用します。毎回この流れを同条件でたどることで、効果検証と安全性を担保します。

  1. 問診で目的とゴール設定を共有
    症状の経緯、増悪軽減因子、仕事やスポーツの要求水準、達成したい動作を具体化します。レッドフラッグの有無をスクリーニングし、必要があれば医療機関との連携方針を決めます。短期ゴール(1〜2週)と中期ゴール(4〜8週)を設定します。
  2. 観察と姿勢評価
    立位・座位・歩行の静動態を観察し、荷重偏位、胸郭の運動、呼吸パターン、肩甲帯と骨盤帯の協調を確認します。症状再現に関わる課題動作(例:前屈、上肢挙上、片脚立位)を基準化します。
  3. 触診とモーション・パルペーションで所見を収集
    皮膚温、筋緊張、圧痛、浮腫感を確認したのち、小さな誘導運動で関節の遊び、抵抗の立ち上がり、終末感、痛みの出方を計測します。体位・誘導方向・力加減を固定し、左右差と再現性を記録します。
  4. ディバシファイド・リスティングで分類・記録
    どのセグメントで、どの運動成分にロスが強いかを簡潔に表記します。主所見と補助所見を分け、同じ語彙と採点基準でテンプレートに記録します。再評価で比較できるよう、日付と課題動作も必ず付記します。
  5. 臨床推論で原因仮説を立案
    リスティング、課題動作、神経系の所見(滑走性、テンションテスト)を統合し、主要ドライバー(関節、筋・筋膜、神経、行動要因)を仮説化します。仮説は「検証可能」であることを条件に、即時変化で確認できるテストを紐づけます。
  6. 介入の選択(関節調整、神経モビライゼーション、軟部組織アプローチ、運動)
    最小刺激から開始し、反応に応じて段階調整します。例として、関節のモビリゼーションで可動性を確保→神経スライダー/テンショナーで滑走性を整える→軟部組織で張力を調整→課題特異的エクササイズで再学習、の順で一貫性を持たせます。負荷量(回数・時間・可動域)と禁忌を明示します。
  7. 再評価で変化を確認し、次回計画とセルフケアを確定
    介入前と同条件で所見を取り直し、痛みスケール、可動域、終末感、課題動作の達成度を比較します。即時変化が得られた要素を家庭用セルフケアに翻訳し、実施頻度・回数・注意点を具体化します。次回は仮説の妥当性を再検証し、必要に応じて戦略を更新します。

冨田院長は各ステップにチェックポイントを設定し、評価条件の固定、記録語彙の統一、負荷量の上限、即時再評価の基準などを明文化しています。院内勉強会では実例を用いたケースレビューを行い、スタッフ全員が同じ基準で判断できるよう手順を更新します。

よくある症状とケース概要

以下は典型例の概要です。実際の介入は評価結果とレッドフラッグの有無を踏まえて個別化します。

首こりと頭痛

所見

  • 上位頚椎の回旋制限(特にC2–C3)
  • 胸椎上部の伸展制限
  • 後頭下筋群の過緊張と触圧痛、頭痛誘発動作の再現性

介入

  • C2–C3のモーション改善(小振幅・低速度の誘導を優先)
  • 胸椎伸展の誘導と呼吸同調エクササイズ
  • 後頭下筋群の緊張緩和(軟部組織アプローチ)
  • 大後頭神経・小後頭神経のスライダーで滑走性を確認

再評価

  • 頚部回旋角度の左右差
  • 屈伸終末感(硬さ、スプリング感)の変化
  • 頭痛の頻度・強度・持続時間の推移(簡易日誌で記録)

補足

  • 片頭痛様の症状や神経学的異常が強い場合はレッドフラッグを再スクリーニングし、医療機関と連携します。

肩の痛みとしびれ

所見

  • 肩甲胸郭の滑走低下(上方回旋・後傾の同調不全)
  • 第一肋骨の可動性低下
  • 斜角筋周囲の緊張と圧痛
  • 正中神経テンションテスト陽性(症状の再現あり)

介入

  • 第一肋骨のモーション改善(呼吸と同期)
  • 肩甲骨の下制・上方回旋・後傾の協調再学習
  • 正中神経スライダー(症状が増悪しない範囲)
  • 前腕屈筋群・円回内筋の軟部調整でトンネル部の外圧を軽減

再評価

  • しびれの再現性(誘発動作での変化)
  • 肩関節挙上角度と痛みの開始角度
  • 就寝時の症状(夜間痛・体位での変化)の推移

補足

  • 手指の筋力低下や巧緻性の明らかな低下が出現した場合はレッドフラッグを踏まえて医療機関の評価を優先します。

腰痛と坐骨神経の不快感

所見

  • 仙腸関節のナットロッキング低下(終末域での安定性不足)
  • 腰椎の側屈ロス(片側優位)
  • ハムストリングの過緊張と骨盤後傾の持続

介入

  • 仙腸関節のモーション回復(体位選択と低負荷から開始)
  • 腰椎側屈誘導でセグメント間の遊びを再獲得
  • 坐骨神経スライダー(臀部〜大腿後面の滑走性を確認)
  • 股関節伸展エクササイズ(腸腰筋の協調を含む)

再評価

  • 指床間距離などの前屈距離
  • 片脚立位の安定と保持時間
  • 歩行時の違和感(距離・速度・体幹回旋の質)の変化

補足

  • 下肢の進行性筋力低下、排尿・排便障害、広範囲の感覚鈍麻などが出現した場合はレッドフラッグとして速やかに医療機関へ。

安全性・適応外・同意について

施術は安全性を最優先に運用します。レッドフラッグの有無を確認し、医療機関での評価が必要と判断したケースでは施術を行いません。施術前に目的、方法、期待される変化、予想される一時的反応(だるさ、軽い筋肉痛など)を説明し、同意を得た上で進めます。刺激量は最小限から開始し、反応を見ながら段階的に調整します。

レッドフラッグの例(医療機関での受診を優先)

  • 強い外傷歴、骨折が疑われる痛みや変形
  • 発熱と全身倦怠、感染徴候(夜間悪寒、化膿など)
  • 進行性の筋力低下や麻痺、広範囲の感覚鈍麻
  • 膀胱直腸障害(尿閉・失禁など)
  • 原因不明の体重減少、がん既往と関連が疑われる痛み
  • 激しい頭痛や神経学的異常(言語障害、意識障害、片側の脱力など)
  • 大動脈解離や血栓が疑われる胸背部痛・下肢腫脹などの循環器症状

適応外・要注意のケース

  • 重度の骨粗しょう症、進行性の脊椎不安定性
  • 抗凝固療法中や出血傾向が強い場合
  • 急性炎症期や皮膚の脆弱性が顕著な場合
  • 重篤な神経圧迫が疑われる場合(馬尾症候群など)

同意と説明の範囲

  • 施術の目的(機能改善・疼痛軽減・再発予防)
  • 方法(関節モビリゼーション、神経モビライゼーション、軟部組織アプローチ、運動)
  • 期待される変化と限界、想定される一時的反応
  • 中止基準(痛みの急増、遠位への強い放散、めまい・吐き気など)

刺激設計と段階的調整

  • 最小有効量から開始し、速度・振幅・回数を段階調整
  • 介入ごとに即時再評価を行い、変化が不十分な場合は方針を切り替え
  • 自宅でのセルフケアは回数・時間・注意点を具体化し、過負荷を避ける

連携と記録

  • 医療機関での検査結果や服薬情報を尊重し、必要に応じて共有
  • 記録は統一様式で保存し、次回以降の再評価と安全管理に活用する

FAQ(よくある質問)

Q1. 関節位異常はレントゲンで必ず確認できますか
A. 必ずではありません。構造変化が映ることもありますが、動きの質は画像に写りません。触診や機能検査と合わせて判断します。

Q2. モーション・パルペーションは痛いですか
A. 基本的に痛みの出ない範囲で小さな誘導を行います。痛みが出る場合は方法や姿勢を変更します。

Q3. ディバシファイドと他テクニックの違いは
A. ディバシファイドは評価と記載がシンプルで臨床に取り入れやすい点が特徴です。パーマー、ガンステッド、トムソン、CBP、上位頚椎テクニックなどの考え方を状況に応じて参照します。

Q4. 神経アプローチはしびれに有効ですか
A. 症状の原因が神経の滑走性や周囲組織の影響にある場合、改善が期待できます。全てのしびれに有効とは限らないため、評価と再評価で反応を確認します。

Q5. 通う頻度はどのくらいですか
A. 症状の程度や生活動作、仕事の負荷により異なります。初回評価後に目安を提案し、変化に応じて間隔を調整します。

Q6. どのような資格者が対応しますか
A. 国家資格に基づく施術者が担当し、必要に応じて医療機関と連携します。冨田院長が監修し、院内勉強会で技術水準を統一しています。

Q7. 通院中の医療機関がある場合でも受けられますか
A. 担当医に施術内容を共有しながら進めることが可能です。禁忌や注意事項がある場合は優先して従います。


参考文献・学習リソース

  • 末梢神経マニピュレーション
  • バトラー・神経系モビライゼーション
  • 脊柱モーション・パルペーション
  • カイロプラクティクノート1
  • ネッター解剖学アトラス
  • 筋骨格系のキネシオロジー
  • 脊椎マニピュレーション
  • ボディナビゲーション

院内ではこれらの資料をベースにチェックリストと評価表を作成し、症例検討会で更新しています。

まとめ

矢部院の施術は、関節位異常の見立てと神経アプローチを柱に、触診、リスティング、臨床推論、介入、再評価を一連の流れとして実施します。冨田院長の10年にわたる臨床経験と継続的な学習、仲間との研鑽に基づき、再現性のある手順で安全に進めます。症状の背景を丁寧に整理し、日常の動きを取り戻すための現実的な選択肢を提示しながら、個別性の高い計画でサポートします。

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初回は評価と説明に時間をかけます。服装は動きやすいものをおすすめします。症状が長引く、しびれや不快感が続く、再発を防ぎたいといった場合は、早めの評価が改善への近道です。気になることがあれば、上記のいずれかからご相談ください。

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