ランナー膝の原因である腸脛靭帯は臀部の筋肉(大殿筋、大腿筋膜張筋)から始まり
膝の外側(Gerdy結節)まで繋がっている長い靭帯です。
その腸脛靭帯が膝を約30°曲げる時に太ももの骨(大腿骨外側上顆)の上を通り、
少し場所を移動する際に摩擦が起こり、炎症反応をおこしてしまい膝の外側に痛みが出現します。
その為、膝の曲げ伸ばし回数の多い長距離ランナーで良く発症してしまう事からランナー膝と言われています。
原因は特にオーバーユース(使いすぎ)が多く
膝の曲げ伸ばしの多いスポーツ(陸上、バスケなど)や仕事で屈伸運動の多い人に良くみられます。
その他にも
・腸脛靭帯の硬さ(柔軟性の低下)
・O脚(腸脛靭帯が大腿骨外側上顆に擦れやすくなる)
・体が硬い、準備運動せず急に運動を始めるなどいろいろ原因はあります!
過去14年間にとある外来を受診した中・長距離患者は1149名おり
膝で来院された方は308名で
その中で一番多かった疾患が腸脛靭帯炎(18%)と陸上で膝を痛める方の約5人に1人は
ランナー膝と確率が高いことが分かっています。
そして、自分が今どのくらいの症状なのかを見極める指標があります。

≪腸脛靭帯の重症度分類≫
グレード1|走行後に痛みが出現。走行距離、スピードに影響なし
グレード2|走行中に痛みが出現。走行距離、スピードに影響なし
グレード3|走行中に痛みが出現。走行距離、スピードに影響あり
グレード4|痛みが強度で走行を妨げる
(疾患別整形外科理学療法ベストガイド〈下肢編〉より引用)
初期の症状では運動後に痛みが出ますがその後安静にしていると痛みが消失していきます、
症状が悪化すると歩行時や階段昇降時、安静にしていても痛みが出てしまいます。
では自分の症状がランナー膝か見極められるセルフチェックをお伝えします。
膝を90°曲げた状態から膝の外側2-3㎝上を手の平や指で軽く押さえ、
徐々に膝を伸ばしていった時に痛みが誘発されるかどうか試してみて下さい。
もし痛みが誘発された場合はランナー膝の可能性が高いとされます。
もしそのような場合は、セルフケアとして安静が第一になってきます。
まずは安静にし、炎症反応を抑えていくことが大切です。
仮に痛みを堪えながらランニングやステップ系トレーニングなどを続けた場合、
上記に挙げたグレードレベルが上がってしまう事もあります。
ですが症状や競技によっては治療をしながら運動を継続することも可能です。
その為には上記の内容を理解し一人で治そうとするのではなく、病院や治療院に早めに受診し
指導してもらいましょう。
また当院では腸脛靭帯に繋がる大腿筋膜張筋のストレッチや臀部のトレーニングなど
ランナー膝の予防や指導の実績も多数あります。
質問や相談なども受け付けております。

参考本:復帰をめざすスポーツ整形外科